江戸時代の公式な拷問の第4段階で、最も厳しいもの。牢屋敷内の拷問蔵でおこなわれた。
まず上半身を裸にした上で、両腕を背で重ね、紙と藁を巻き付けた上から縛る。
さらに余りの縄を胸に回して縛る。
これを梁の環を通した縄で宙に吊した。
足先は地面から三寸六分(約11センチ)ほど浮かせたという。
江戸時代で最も過酷な拷問とされた釣責めを、信乃も体験することになった。
手首を背中で括られ、胸の上下に縄を掛けられる。
両足をばたつかせぬよう、足首も縄で縛られた。
そして、背の縄にチェーンブロックのフックが掛けられ、ゆるりと釣り上げられてゆく。
爪先が床から離れた刹那、「くああッ!」と堪えきれない呻きが漏れた。
縄が身体に食い込んでくる。一番辛いのは手首。そして二の腕、胸。
身じろぎするたびに、身体が揺れる。
……たまらない陶酔感であった。
笞が尻に当てられた。
「ああッ!」
頭を仰け反らせ、悲声を上げる。
二発、三発、四発。必死に耐えるが、徐々に悲鳴が大きくなってゆく。
五発、六発。悲鳴と悲鳴の間に、喘ぎ声が混じる。
七発目を打たれ、悲鳴は叫びに変わった。
「ああぁーーッ!ぐあッ、はあッ、あぁ……」
身体が揺すられ、視界が回った。回されながら、さらに笞打たれる。
十発目を打たれ、ついに信乃は泣き始める。
そして、もう一発笞が当てられ、信乃は折れた。
「お許しください……お許しください」