その日私は 釣責め の拷問を受けていた。
完全に吊られていたのはごく短い時間だったが、身体を下ろされた後、右腕に激しい痺れを感じた。
手首と二の腕には、縄が食い込んだ痕がくっきり残っていた。
しばらくすると、血行の回復とともに、痺れそのものはなくなったが、右手首から先が動かない。
感覚はあるのだが、手首から先はだらんと垂れたまま、動かすことができないのだ。
十分ほど、お湯で温めたり、マッサージしても回復しないので、焦りを感じる。
左手でパソコンのキーボードを叩いて、「手首 動かない」で検索してみた。
すると、すぐに「橈骨神経麻痺」とわかった。
・二の腕などの圧迫によって、神経が損傷。
・回復にはおよそ一ヶ月ほどかかる。
・応急処置は必要ない。
状態を把握したので、少し安心した。
医者に掛かって、ビタミンB12(メチコバール)を処方してもらえば、神経の修復速度が早まるとのことだが、なかなか理由を説明しづらいので、とりあえず自然回復で様子を見ることにする。
・当日:マウスが握れない
・3日目:マウスを握って動かせるようになる
クリックやホイール操作はできない
・7日目:ペンで、きたない字が書けるようになる
箸が持てるようになる(先端の開閉はできない)
・11日目:時間をかければ字が書けるようになる
マウスのホイールが回せるようになる
・15日目:じゃんけんのチョキが出せるようになる
・25日目:タイピングが普通にできるようになる
じゃんけんのパーが出せるようになる
毎日毎日、少しずつ動かせるようになってゆくのが実感できた。
そして、回復には確かに一ヶ月掛かった。
*
緊縛などのSMプレイによって、神経損傷の事故が起きることは、知識としては知っていた。しかし、余程の無茶をしなければ大丈夫だろうと、あなどっていたのも事実だ。
釣責めは、かなり無茶な部類に入る。この程度の怪我で済んで、幸いであったと思う。
拷問プレイをお楽しみの皆様は、くれぐれもお気を付け頂ければ幸いである。
参考サイト:SMと事故 http://kazumi.kir.jp/jiko.html