飛騨高山の 高山陣屋 を訪問した。
高山陣屋は、江戸幕府に飛騨地方の郡代所が置かれていた。
ここのお白洲には、石抱きの責め台、抱き石、箒尻、囚人籠などが展示してあるということなので、一度は訪れてみたいと思っていた。
お白州に並ぶ展示物は模造品と思われるが、なかなかよい雰囲気がでている。
石抱きに用いる十露盤板の角材は、八本並んでいる。石は、一枚40キロとのこと。
江戸時代、実際にこの場所で吟味がおこなわれていたことを思うと、なんとも胸が高鳴り、つい長居してしまった。他の観光客からは不自然に思われていたことだろう。
奥の資料展示室には、一揆の記録などがあった。捕らえられた農民が、厳しく詮議されたこともあっただろう。首謀者と思しき名主の、一人娘が捕らわれ、激しい拷問に掛けられた……なんて空想にひたる。
……その夜の私は、高山の陣屋でお取り調べを受ける女囚になった。
目を閉じると、お白洲の様子が思い浮かぶ。
私は、30分の木馬責め、40分の石抱きにも屈することなく、仲間たちの秘密を守り抜いたのだ。