木馬責め


木馬責め,三角木馬

映画「桜田門外ノ変」(2010) より背景を拝借 / モデル:信乃



     木馬責めとは

 背を鋭く尖らせた三角形の木材に跨らせる拷問。

 器具は四本もしくは三本の脚があり、馬の形に似ているため木馬という。
 背の角度は45度から60度程度であり、狭角なほど苦痛が激しい。
 脚先に車輪がついており、自由に転がせる物もある。
 また、背の部分に突起を付けた物もあるが、これは膣や肛門に突き刺さり更なる苦痛を与える為の工夫である。
 一般的には、被疑者を全裸もしくは下半身を裸にして、木馬に跨らせる。
 両腕を後ろで縛り、縄で天井より吊すことによって、木馬から落下することを防ぐ。
 女性の場合は、毛髪を縛り、これを吊すこともあった。
 この状態で、被疑者の体重がすべて股間に掛かることになり、その苦痛は凄まじい。
 特に女性にとっては、陰部に加えられる苦痛と羞恥の為、他に類を見ない苛酷な拷問であったといえる。

 被疑者の両足に縄を掛け、重石等を吊り下げることもよく行われた。これによって、股間の苦痛を増大させたのである。
 更には、木馬を揺さぶり、あるいは木馬を傾けて責め立てる。また、縄でいったん吊し上げ、木馬の背に落とすこともあった。長時間に及ぶと、股間から出血し、やがては股が裂けたという。
 木馬責めに掛けられた被疑者を、更に笞などで打ち叩くこともあった。打擲の苦痛で身じろぎすれば、更なる苦痛が股間を責め立てた。

 この拷問の発生は、室町時代末期であったと思われる。
 江戸期においては、切支丹宗徒や年貢滞納の農民をこの責めに掛けた記録がある。
 茗荷谷の切支丹屋敷、火付盗賊改役宅をはじめ、各所に存在したことが知られているが、現存する木馬は無い。

 西洋でも同様の拷問があり、木馬は「ロバ」と呼ばれていた。
 魔女裁判において、また17〜18世紀には各国軍隊の刑罰として木馬責めがおこなわれた記録がある。



     木馬責め・幻想

 木馬責めは美しい。
 三角錐の木材に跨らせるだけ、というシンプルさ。
 単純な拷問でありながら、極めて激しい苦痛を与える機能性。
 女性の場合には、陰部を責め立てるというエロティシズム。

 被疑者は後ろ手に縛られ、木馬に跨らされる。
 身体は縄で天井より吊される。
 激痛に身をよじっても木馬の背から逃れることは出来ない。
 両足には重石が吊り下げられ、陰部の痛みが一層激しくなる。
 木馬を膝で挟み込み、苦痛をやわらげることもかなわない。
 ほんの数分で、全身が脂汗にまみれる。
 苦痛は一刻ごとに増すばかり。
 ただじっと、歯を食いしばって耐え続けるのみ。
 気の短い拷問者が、木馬に手を掛けて揺さぶった。
 全身を貫く衝撃が、股間から発せられる。
 被疑者はこらえ切れずに悲鳴をあげる。
 髪を振り乱して、泣き叫ぶ。
 涙と汗が飛び散った。
 やがて木馬の揺れはおさまったが、もう悲声をおさえることは出来なかった。
 途絶えぬ苦痛に、むせび泣く被疑者。
 涙で視界がぼやける。
 もはや自分のものとは思えぬ両足が痙攣する。
 意識が遠のく。
 その時、突如として襲いかかる衝撃。
 瞬間息が詰まり、その後つんざくような悲鳴があがる。
 胸に鞭が与えられたのだ。
 拷問者は更なる鞭を振るった。
 背に胸に、そして太股を鞭が襲う。
 紅く腫れあがった鞭跡が刻まれてゆく。
 鞭の痛みに身をよじれば、それは股間の激痛となって報われる。
 被疑者は身体をこわばらせて、ただひたすらに耐えていた。
 人のものとは思えぬ悲鳴をあげながら。
 意識を失うまで、拷問は続く。
 それは、被疑者にとって果てしなく長い時間。

木馬責め,三角木馬



     木馬責め・体験

 木馬責めという拷問に出会ったのは、小学5年生の時でした。
 歴史マンガで見たそのカットは、あまりに衝撃的なものでした。
 当時すでに「拷問されたい」願望のあった私は、まさに木馬の虜になってしまったのです。
 三角木馬に似た尖ったモノを見ると跨ってみたくなり、木馬責めを受ける想像をしながら覚えたての自慰行為をしていました。

 初めて木馬の痛みを知ったのは、高校生の頃だったと思います。
 二枚の板と椅子を組み合わせて、木馬を作ってみました。
 勿論、ちゃんと背の尖ったやつです。
 衣装も自作の囚衣を着込みました。
 これで私は、心も格好も江戸時代の女囚になりました。
 両足首に鉄の重りをくくり付け、木馬に跨ります。
 あの痛みは……経験した人でなければ分からないでしょう。
 ほんの数秒で我慢できなくなります。
 しかし私は、拷問に屈するわけにはいきません。
 白状したら最後、処刑されてしまうでしょうから。
 両手を後ろで組み、手枷を通します。
 所詮は自分で解くことの出来る縛めですが、解くことは屈服を意味します。
 すぐに、体中から汗が噴き出してくるのを感じました。
 頭を右肩にあずけて、じっとこらえます。
 囚衣の胸元から熱気が立ちのぼってきます。
 内股もじっとりと汗に濡れています。
 股間の痛みは……言葉になりません。
 上体をやや後ろに反らせると、ちょっとだけ楽になりました。
 そのままの姿勢をたもって、耐え続けます。
 視界にある時計の秒針は、信じられないほどゆっくり動いています。
 あと30秒耐えよう、そう決意した30秒が過ぎると、もう30秒耐えようと……。
 それの繰り返しです。
 本当に長く感じる30秒です。
 やがて、足が痙攣をおこすようになりました。
 そろそろ限界でしょうか。
 最後に私は、木馬を揺さぶられる痛みを経験したいと思いました。
 木馬を揺さぶる刑吏は居ませんから、自分自身で体を前後に揺すります。
「くあぁッ……あうッ!」
 堪えきれない呻き声が漏れます。
 涙が頬を伝わりました。
 本当に痛い! 本当に痛い! 本当に痛い!
 もう我慢できない!
 そして私は、ついに木馬責めの拷問に屈しました。
 後ろ手の縛めを解き、両手で体を支え、木馬から降ります。
 拷問で痛めつけられ体を、ベッドに横たえます。
 股間はじんじんと痛み、痺れた両足は自分のものではないようです。
 囚衣は全身の汗をたっぷりと吸い込んでいます。
 額もびしょ濡れです。
 私が木馬責めに耐えられたのは、15分ほどの時間でした。
 でも、木馬を揺さぶられたり、ムチで叩かれたりしたら……
 とても耐えられない拷問だなぁ、と思いました。
 私は木馬責めに屈して、秘密を漏らしてしまったのです。
 このままでは処刑されてしまうでしょう。
 それまでに、仲間が助けに来てくれるでしょうか?
 私はそんなことをぼんやりと考えていました。

 木馬責めを受けた後しばらくは、歩くだけで痛みを感じます。
 特に、自転車に乗るのは大変です。

 その後も私は、囚衣や忍び装束の上から麻縄で自縛した上でて木馬に跨り、拷問ゴッコを楽しんでいます。
 女囚になりきって拷問に耐える時、私はたまらないエクスタシーを感じます。
 ちなみに、これまでの最長記録は、三十分間です。



     三角木馬製作記 1

木馬製作記

   1998年に製作された木馬


     三角木馬製作記 2

三角木馬

   2011年に製作された木馬



     木馬責め・体験 2

 十年来の夢が叶い、他人様の手で責められる体験をしましたので、ご報告。

 まず、囚衣をはだけた状態で木馬に跨ります。
 後手に縛られ、上体に縄を掛けられ、さらに足首に十キロの重りを吊されます。
 そして、肩を、背を、胸を、箒尻で思いっきり打たれました。
 それでも音を上げないと、木馬を揺さぶられたり、重石に足を掛けられたり……。
 一番辛かったのは、身体を掴まれ、前後左右に揺り動かされた時でした。
 また、箒尻で尻を打たれた時も、股間の痛みが一気に高まり、声をあげてしまいました。

 結局、耐えられたのはほんの十数分でした。「申しあげます!」という科白で、私は拷問から解放されました。
 ただ跨っているだけならば、もっともっと耐えられると思いますが、木馬や身体を揺さぶられ、笞で打ち叩かれると、長くは我慢できません。
 でも、木馬から降ろされた後、自力で立っていられた(歩くのはちょっと辛かった)ので、もっと耐えるべきだったと後悔しています。やはり、しばらくは身動きできないほどの責めを受けないと、気分が出ませんから(笑)。

 もし次の機会があるならば……三十分、一時間と木馬の上に放置され、身体が痺れ、息が上がり、汗まみれになってから、更なる責め(木馬を揺さぶり、打ち叩いて責める!)を受けてみたいです。


     木馬責め・資料

 いかに自虐的な私でも、そう頻繁に木馬責めを体験するわけにはいきません。
 そこは妄想で我慢することになりますが、妄想にはオカズが必要です。
 様々なメディアで、木馬に関する情報を集めます。
 一番最初に「これだ!」と思ったのは、名和弓雄氏の著作「拷問刑罰史」。
 木馬責めの写真が載っているではありませんか!
 私は今まで何百回、この写真の女囚になりきったことでしょう。
 その後も拷問関係の書籍はあらかた買ってきましたが、あの本のあの写真に勝るオカズはありません。

 その次に出会ったのは「御用牙」という劇画でした。
 木馬責めを受け、さらに笞で背中を打ち据えられるカットがあったのです。
 前後のストーリーが端折られているのが残念でしたが、勝手に物語をふくらませてその女囚に感情移入しました。
 更に拷問のコラムでは、木馬を「白状するまで揺さぶったというからたまらない」という記述があり、うわぁ厳しい!と身悶えしたものです。

 映像では、あまり良い資料が無いように思います。
 「おんな犯科帳」には木馬責めのシーンがありますが、腕は高手小手に縛って欲しいとか、役者がいまいちとか、木馬を揺さぶってぇ!とか、色々と注文をつけたくなります。
 「秘録おんな牢」は一瞬しか映りませんでした。状況は理想的なので、もうちっとカメラを引いて、せめて10秒は映してほしいなぁ、と思いました。
 「続・秘録おんな牢」では、拷問蔵に木馬が置いてあります(作品中では使われないのですが)。主人公のお波が折檻されるシーンで「お前の望みの責め道具を言いな!」と鍵役に脅されるのですが、私がお波だったら「木馬をお願いします」と即答したでしょう。
 「修道女ジュリアの告白」はいい雰囲気を出しています。でも、暗くてよくわかりません。
 ……というわけで、木馬責めの映像資料を御存知の方、御教示くださいませ。

 時代は平成にうつり、インターネットの世界へ。
 初めて使う検索エンジンで、入力したキーワードは「木馬」(笑)
 「拷問」とか「責め」とか色々なキーワードを入れてみました。
 すると……あるんですねぇ。
 木馬責めのイラスト、木馬の写真、木馬責めの体験、資料などなど。
 木馬に魅入られたのは、私だけじゃなかったんだと思いました。
 特に、「風俗資料館」の「木馬責め特集」は感涙ものでした。
 いやいや、いい時代になったものです。
 私も今こうして、子供の頃から抱き続けた「木馬責めへの想い」をはき出しています。
 同好の方へ届きますように……。

木馬責め,三角木馬



     木馬責め・体験 3
   平成24年 6月 19日 追記

 これまで私が使用してきた木馬は、背の部分に少々丸みを持たせてありました。イメージとしては、直径10ミリの丸棒が頂に乗っている感じです。
 それでも、普通の人が跨って耐えられるものではないのですが。
 しかし、実際に拷問に使われた木馬は、そんな生ぬるいものではなかったでしょう。
 私は一度「本当の」木馬責めに掛けられてみたいと思いました。

 現在所有している木馬は、背の部分を交換できるような構造になっています。そこに、丸ノコとカンナで削り立てられた、鋭利な角材をはめ込みます。
 鋭く背の尖ったキツイ木馬ができました。

 私は覚悟を決めて、木馬を跨ぎます。
「ああッ! きつい!」
 体勢が整うまでは、背の部分に手のひらを当てて体重を逃がすのですが、その手が痛い。
 さらに、足首にそれぞれ二貫目(7kg)の重石を吊り下げます。
 木馬の背から支えの手を外し、後ろ手に拘束します。
 私の体重に重石を足した重量が、すべて股間の一筋に掛かりました。
 それは、今までに体験してきた木馬責めとは、別次元の痛みでした。
 一瞬にして、耐えられなくなります。
「あ……あああッ……くうぅ!」
 木馬の上では、ただひたすらじっとしているのが一番です。そのことは良くわかっているはずなのに、痛みを紛らわすため、首を振ったり身をよじったりすることを抑えられません。その結果、さらなる苦痛を味わうことになっても。
 本当に、荒く息をするだけで、股間の痛みが増すのです。
「わたくしではございません、何かの間違いです、くぁぁ……」
 絞り出すような声で、居るはずのない御役人様に許しを請います。
 激昂した役人は、さらにきつく責めるよう下男に命じるでしょう。

 私は、足首に吊り下げられた重石を、振り子のように前後に揺らしました。
 前に、後ろに、足を引っ張られ、ギシギシと音を立てて木馬が揺れ動きます。
 鋭い木馬の背と、股間の柔肉が、激しく擦られます。
「うお! ああッ……くぅ、ああッ」
 重石の揺れに合わせて、あえぎ声が漏れます。
「降ろして、降ろしてください……」
 かすれた声で哀願する私は、もう一息で落ちると思われるでしょう。責めはさらに苛烈になっていきます。
 重石が蹴飛ばされ、揺れ方が変わりました。右足が前に引っ張られる時には、左足は後ろに。左足が前に振れると右足は後ろに。重石が揺れるたびに身体を左右にねじられ、木馬の背がグリグリと股間をすり潰します。
 私はおとがいをのけぞらして啼きました。額から汗粒が飛び散ります。
 やがて身体が痙攣するのを感じました。
「お許し、お許しください、申し上げます……申し上げます……」
 私は後ろ手の拘束を解き、木馬の背に手をついて身体を支えました。

 情けないことに、信乃はほんの数分で自白してしまいました。
 しかし短い時間ながら、江戸時代の囚人が受けた拷問の辛さをリアルに感じることができました。
 鋭く尖った木馬に跨らされ、両足に重石を吊り下げられ、さらに木馬を揺さぶって責められる、本当の拷問を。

 どうしても一人でおこなう自縛・自虐プレイには限界があります。
 信乃を厳しく責め立て、最後には木馬から降ろす介助をしてくださる御役人様がいらっしゃれば、もっともっと、それこそ失神するまで耐えられるかもしれません……。
 信乃という「偽女」囚を責めてくださる奇特な方に、いつかめぐり会いたい。

三角木馬



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